「ガギグゲキッコ」 土屋雄民

ガギグゲキッコ (IKKI COMIX)
	土屋 雄民 小学館 2011-04-28 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

　最初に渋谷のスクランブル交差点の背景を見た時に、あ、これは失敗したかも、と思ったけど、読み終わると思わず立ち上がりたくなる、そんなパワー溢れる一冊、表紙買いして良かった。

　なにも持っていない北山菊子、就職も出来ず、恋愛も出来ず、どうしても上手く生きられない。そんなキッコが、全てを持ってる全く同じ顔と名前の女に出会ってから、なにを持てばいいのかを少しずつ知っていく…。

　どうなんだろう、これを読んだ人は殆どキッコにシンクロしていくんだろうか。コンプレックス満載で、上を見てはその絶望的な風景にワンワンと泣いちゃうキッコは確かに弱々しいんだけど、決して自分より下を見て安心するような逃げ道は絶対に取らない強さを常に持ってる。
　すぐに屁理屈を自分用に作っては何もしない僕なんかは、キッコの直進力が羨ましく妬ましくなったりしちゃうんだけど。キッコになりたいと思ってしまう。
　そういう人も多いと思うんだよね。自分に不器用な人に憧れるというか。
　最近の日本は、もう一生モラトリアムの時代になるんじゃないかって感じだけど、そんな中でキッコは、間違いなくヒーローになっていると思う。

　「全部捨て終わったら、どうするつもりなの？」

　「別に。どうするつもりもない。ギター一本だけあればいいと思っただけ…」

　これぞロック！！　さあ、ベースを弾こうかな。。