とらドラ! (9) 竹宮ゆゆこ

とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)

とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)

 作者の竹宮ゆゆこさんは、自分が生み出した竜児というキャラクタに恋してしまったんですね。繊細さをとことん描くうちに、それがどんどん自分の胸に刺さって来るという……。でも、もう自分じゃどうにも出来ない、最高速で走ってしまっている物語だし、みたいな。
 そんなもどかしさを投影する最適な登場人物が、川嶋亜美なんじゃないかなー、と。物語をリセットできない苛立ち、竜二が自分を好きになることは絶対にないという悲しさ、全部が作者の発露と重なっていくんですね。なかなかに切なく、そして面白いなあ、と思います。

 どうしても 「大人」 を出しづらいライトノベル、だとしたらやっぱりこんな少年少女たちのぶつかり合いは最適だし、ハラハラするし、グッと来ますねー。次刊もとても楽しみ。