「彼女の世界」 袴田めら

彼女の世界 (リュウコミックス)
彼女の世界 (リュウコミックス)袴田 めら

徳間書店 2012-01-13
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 ボーイッシュで快活な少女、紺野 夏樹。
 誰とも交わろうとはしない少女、氷川 左(ひだり)。

 二人のぶつかってはじけて溶けるような、愛と性の物語ですが、今までの袴田めらの作品のように、底辺にずっとユーモアが流れているような感じは全くなく、ひたすらにシリアス。明かされるのはひたすらに夏樹の心情ばかりで、読んでいる僕の心をこれでもかと絞めつけてきます。たった一巻の、百合というジャンルの中で、これだけの物語が作れるんだなあと読後はタメ息が出まくりです。

 例えば、この二人が13歳の少年少女だとしても、この物語は全く違和感がないんですよね。素晴らしい物語には、百合だとかのジャンル分けは全く意味をなさず、そこには本当の人間の感情と行動が表現されているだけなんだと、これはまあ良いマンガや小説を読むたびに思うことなんですが、ただただ感じますねえ。

 それにしても左の表情がとても面白いですね、それぞれのシーンで完璧な表情が描かれています。かわいい。

 あー、面白い作品でしたね、袴田めらはもっともっと世に出て行っていい作家です!アニメ化でもされて爆発的に売れないかなー。