「式の前日」 穂積

式の前日 (フラワーコミックス)式の前日 (フラワーコミックス)
穂積

小学館 2012-09-10
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 愛と生と死が絡みつく、6篇の短篇集。

 血の繋がりと分断が何編かのテーマになっていて、とても良く作られたプロットでありながら、作者の感情も非常に強く入り込んでいるのが特徴ですね。極度のシスコンである私にもたまらない作品がありました。
 きっと読まれた人のどこかしらの心に、ピトっと触れてくるところがあると思います。
 
 現在の女性漫画家にほとんど蔓延している絵柄ではあるのですが、この作者は物語を作りたいっていうのがとても強いと感じますので、これからの作品に楽しみが膨らみますね。今は長編を連載されているそうなので、必ず読みたいです。

 例えれば、昭和後期の小説家のようなストーリー。感情を大事にしながらも、ひねったプロット展開で読ませる。ほんとうにこれからが楽しみです。

 「猫背を伸ばして 新装版」 押切蓮介

猫背を伸ばして 新装版 (フレックスコミックス)猫背を伸ばして 新装版 (フレックスコミックス)
押切蓮介

ほるぷ出版 2012-10-12
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 押切蓮介の自伝的エッセイコミック。父親が失踪してからの母親との二人暮らしを中心に、辛かったバイト体験や週刊連載の苦悩などが淡々としたテンポで描かれています。

 「猫背を伸ばして」は一緒に暮らす母親がことあるごとに息子の神崎良太(押切蓮介の本名)に言ってきかせる言葉。
 作者の母親に対する尊敬と愛情がとても素直に表現されていて、読んでいるこっちもホクホクとします。
 僕もずっと母親と二人暮らし(妹が一人暮らし中)で、ぶっちゃけ結構なマザコンなので、こういう母親を大事に描いている作品はとてもいい気分になりますね。
 ちなみに、ラノベの「とらドラ!」全10巻の中で一番印象に残っているのは、竜児の「マザコンで何が悪い」です。

 たしかに「ミスミソウ」なんかも、あれだけの絶望の中でもみんな前を向いて考え行動している。
 押切作品を読むといろんな感情や元気が出るのは、きっとこういったことなんだろうと思う。

 「今日のユイコさん」 1巻 秀河憲伸

今日のユイコさん(1) (アフタヌーンKC)今日のユイコさん(1) (アフタヌーンKC)
秀河 憲伸

講談社 2012-09-21
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 『まじめすぎる彼女が実は僕にベタ惚れ。』
 『ガンコすぎる女の子・ユイコさんと、ひ弱な男の子・トモヤ。
  相思相愛、イチャコラなふたりの成長型青春ラブコメディ❤』

 
 最高である。
 
 ラブコメ大好き委員会の会長である私ですが、メディアミックスを夢見ていろんなシチュエーションのラブコメがあふれる昨今、あえての邪悪さのない善意に満ちたラブコメの登場に感涙です!
 
 ユイコさんの、教室内で発揮される真面目さと口煩さは「今どきのラブコメ」では必ずイジメ等の問題になって、そこからの救済だとかラブのための適当なエッセンスに下らなく落とし込んだりしちゃうんですが、この作者はわかっててクラスメイト全員を善意で固めている。
 もちろん悪意を描く実力も持っているけどそんなのは必要がないことをわかっているので、ひたすらにユイコさんの心情のみをフォーカス。
 心情の機微が描かれてこそのラブコメということですね。事件なんてあとでいくらでも起こせるのだから。

 まあ、なんて書いてますが、多分作者は強気女子の赤面を見たいだけだと思います。私もそれさえ見られればどうでもいいです。
 

 大相撲秋場所11日目に行ってきた

 絶対に全盛期の白鵬は見ておかなくてはならない、ということで両国国技館に行って参りました!
 把瑠都の欠場は残念だったけど、鶴竜隠岐の海と大好きな力士を見られて大満足でした。

 やっぱり白鵬の迫力は半端無かった。現人神。

 国技館の地下で各部屋のちゃんこが食べられるんだけれど、当日はちょうど宮城野部屋のちゃんこということで、白鵬は毎日これを食べてんのか、と少し感動。
 有名な焼き鳥も美味しくいただきました。白鵬ボールペンもテンション上って買ってしまったが、これは全く要らなかったな(笑)。

 とにかく相撲は観戦することで得られる迫力がテレビのそれとは全くの別次元で、ほんとうに見に来てよかったと思った。プロ野球Jリーグはしょっちゅう見に行っているけど、相撲は値段的に、そして時間的になかなか見に行けないのが残念だなあ。でも、絶対にまた見に来ようと思うだけの凄さはあった。

 夜ご飯を食べに東京スカイツリーに。初めて来たけど、やっぱりでかさに感動。

 香川に行った時に食べた「山田屋」のうどんは本当に美味しかったので、その支店に行ってみたんだけれど、ちょっと残念な出来だったな……。

 「俺物語!!」2巻 アルコ 河原 和音

俺物語!! 2 (マーガレットコミックス)俺物語!! 2 (マーガレットコミックス)
アルコ 河原 和音

集英社 2012-08-24
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 やっぱり繰り返し読んでると泣けてくる。猛男のモノローグが狙わずにストレートなのがとてもいい。
 全体的には1巻と変わらず。主人公たちの善意がすべてを許容し駆逐していく。爽快です。

 「オレは何も傷ついていない」 「傷ついたのはお前だろう」
 
 「生まれてきてくれて オレの目の前に現れてくれて ありがとう」
 
 「大和 好きだ」 「好きで いっぱいだ」

 一巻の時は読み切りだからこそ光る物語だろうと思ったけど、この猛男づくしで行く感じもとてもいい。
 いやいや、やっぱり大好きだー。面白かった。

 「エデンの東戸塚」1巻 袴田めら

エデンの東戸塚 (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)
エデンの東戸塚 (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)袴田 めら

芳文社 2012-08-10
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 いつもどおり、めちゃんこ面白い。「さろめりっく」は序盤の感情が急ぎすぎていて、終盤までそこが少し引っかかってしまった。ラストはとても甘くてハッピーでよかったですけどね!

 で、「エデンの東戸塚」は感情の追い方もとても丹念で、本当にいつもの袴田めらさんの作品という感じ。安心して百合の世界に浸りきれます。

 百合作品で面白いのは、おおむね世界観が2つに別れるところですね。「男もわんさかいる一般世界で愛しあう女の子二人」と「女の子しかいない世界で愛しあう女の子二人」の2つ。今作は完全に後者。
 男が存在、もしくは介入してくる世界だと、普段の生活のいろいろな事件が主人公たちの関係性に影響を与えたりして物語を作っていくんだけれど、今回のような世界では、常に感情のみがすべてを支配して、悩み悩ませながら、感情の成長が物語の進行となっていく。

 袴田めらさんは、両方の世界観で作品をどんどん作っているのがすごいと思います。物語に対しての冷静な目がいつもあるからでしょうね、素晴らしい。

 あと、読んで思ったのは、玉子かけご飯食べたい。

「彼女とカメラと彼女の季節」 1巻 月子

彼女とカメラと彼女の季節(1) (モーニング KC)彼女とカメラと彼女の季節(1) (モーニング KC)
月子

講談社 2012-05-23
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 作者の月子さんの略歴が僕は全く知らなかったのだけれど、超々マンガが上手い。どうしても色々検索しても今までどういった作品を描いてきたのかが分からない。もう一個連載しているらしい「つるつるとザラザラの間」もぜひ読んでみたい。

 ちゃんと最近の漫画の「絵」の描き方を勉強した「ひぐちアサ」といった感じで、ノーマルと百合の混ざり合った微妙な高校生たちのストーリーを、とてもわかりやすい絵で上手に表現されています。
 しかし、ほんとに作者は女性なのかと思うほど、太もものエロさ半端ない。しかも、太もものエロさ半端ない。加えて、太もものエロさ半端ない。
 凛太郎にフュージョンしてこの作品の世界にマジでダイブしたい。

 少年少女の繊細な心の動きに、テーマとなっているカメラがとてもうまく絡み合っていて本当に面白かったです。
 2巻、はよ。